kydhp49’s diary

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<34> オンライン授業を限りなく対面授業に近づける ―その成否は如何に?―

 コロナウイルス禍の影響で、大学の授業は軒並みオンライン授業と化した。私の大学もその例にもれないが、リアル対面授業の良さをオンライン授業で失うわけにはいかない。

 まずはオンラインアプリを探り、ZoomかTeamsかと迷ったが、Office 365を使う身では自然な流れからTeamsとなった。Stream, Onedrive, FormsなどOffice関連のアプリとの連動が抜群であった。もちろんZoomにはZoomの良さがあり、外部の会議はほぼすべてZoomで招集されている。Zoomには一頃セキュリティの脆弱さが指摘されていたが、改善によりその指摘も影を潜める昨今である。

 オンライン授業の難関は、対面授業で駆使していた小グループでの討議と全体討議のスムーズで頻繁となる切り替えだ。つまり、2次元上で展開されがちなオンライン授業に3次元上の深みを取り入れる必要がある。これはちょっと工夫が必要であったが、Teams内のchannel機能を駆使して、なんとかリアル対面授業に近づけた。ポイントは、全体授業と小グループ活動の1、2秒以内での円滑な移動を頻繁に導入できる操作性の高さだ。移動にまごついていては使いものにならない。

 最近は、Teamsには挙手機能も備わったので音声だけの意思表示ではなくなったのも嬉しい。これにFormsやOnedriveなどOffice内アプリとの連動が保証されれば、意外とよい授業になる。時間的な問題から討議の活性化は授業外で行うべきだという信念がある私は、10年ほど前からmoodleというプラットフォームで、テキストベースの討議手法を導入していた。わずか15名ほどの受講生でも週に300通を超える意見の応酬があり、壮観かつ有意義であった。このプラットフォームでは、最近のslackも使えそうだ。

 対面授業と比べても、オンライン授業にも軍配があがる要素は沢山あることは指摘しておきたい。研究室、そこでのPC内、あるいはネット上の世界中の選りすぐりの情報を瞬時に受講生に見せることができる。授業内のアンケートも簡単にでき、即刻集計して提示することができるのだ。

 難題中の難題は、受講生一人ひとりのネットと機器の環境や性能が異なることだろう。映像はよいのだが音声が乱れると話にならない。また、映像と音声のタイムラグは常態的に確認でき、この点が授業のテンポを崩す。5Gが当たり前になる日が待ち遠しい。

 もちろんオンライン会議は楽ちんである。授業時ほど機動性が要求されない。つまり、体力と気力がそれほど要らない。これは、対面では五感のすべてにわたる相互の作用がものを言うからであろう。もうすぐ対面授業となる。願わくば、このオンラインでの経験から、その良さが対面授業に吸収され、対面授業そのものの品質が上がることだ。

 しかし、最後に言っておきたいことがある。それは、授業の善し悪しはあくまでも機器やアプリの性能が決めるのではない。授業そのものの中身と授業者の授業運用力、そして授業者の個性なのだ。そして、この個性は、生身の授業者、生身の授業者と受講生の相互の作用からしか効果を生まない。この点、決してお忘れなく。

 最近はオンライン授業に倦んできた。まだまだICTは未熟だ。いや、オンライン授業の方が良いという向きは、一度自身の対面授業の質を再考してみてはどうだろうか。対面授業の利用価値の高さは計り知れない。これに、現在のICTのチップを埋め込むのがよいだろう。オンライン授業という、見かけの新規性と派手さに惑わされてはならない。